犬や猫が定期的にワクチンを接種しなければならないのは、多くの方々が知っている事実だと思います。
ワクチン接種は法律で定められたものではなく、飼い主さん個々の判断に委ねられて接種するものです。
ワクチンに関しては、色々な意見がありますが、人間でも、ワクチンのおかげで撲滅した感染症はたくさんありますし、その副作用に苦しんだ人もゼロではない事は確かです。
現在は特に、世情的にワクチンに関しては、世の中は敏感になっているかもしれません。
室内で飼われている猫は、外を出歩く猫に比べれば、感染症にかかるリスクは少ないかもしれません。
けれども、来客やふとしたきっかけでの他猫との接触、飼い主さんが外からウィルスを運んでくる可能性も多大にあります。
ペットホテルや他の猫のいる家庭などに預ける機会もあるかもしれません。
もちろん、ワクチンの副作用などのリスクを知った上で、自分の相棒が長く健康で過ごせる方法を、飼い主さんが考え、決定しなければなりません。
しかし、一番大切な事は、ワクチンを接種するかしないかではありません。
相棒の健康を考え、模索する事。
相棒とともにできるだけ長くいっしょに過ごすために飼い主さんができることを目一杯やる。
その過程こそが、とても大切な事です。
猫のワクチン摂取について
ワクチンを接種するにあたって、少しワクチンについて調べてみる事にしました。
私は、病気を予防できるものならば、ワクチンは接種させた方が良い派です。
今までの家族であった犬たちも、狂犬病の予防接種とワクチンは受けていました。
しかし、今まではあくまで犬のワクチンです。
犬のワクチンについては知っていても猫のものについて調べた事はありません。
ですから、自分を納得させるためにも、猫のワクチンについて調べる事は、私にとってとても重要な事です。
猫のワクチンの種類
現在、一般的に、動物病院で主に接種できるワクチンは、7種類で、ほとんどの場合、混合ワクチンです。
- 猫ヘルペスウィルス感染症
- 猫カリシウィルス感染症
- 猫伝染性腸炎
- 猫クラミジア感染症
- 猫白血病ウィルス感染症
- 猫免疫不全ウィルス感染症(FIP、猫エイズウィルス)
- 狂犬病
この7種です。
この中の何種類かが合わさったワクチンが混合ワクチンです。
室内で飼育されている猫の場合は、多くの動物病院で、3種混合を勧められます。
- 猫ヘルペスウィルス感染症
- 猫カリシウィルス感染症
- 猫伝染性腸炎
この3種が合わさったものです。
逆に言えば、この3種は、室内で飼われていても比較的罹りやすい感染症と言えるでしょう。
感染力が強いので、多くの地域に蔓延しているウィルスです。
しかし、地域によってはこの3種以外にも、野良猫などを中心に蔓延しているウィルスもありますので、地域ごとに動物病院に相談するのが良いかもしれません。
ワクチンはいつ摂取したら良いのか
仔猫がワクチンを接種するのは生後2〜3ヶ月がもっとも適していると言われています。
赤ちゃん仔猫は、お母さん猫の母乳から免疫力をもらいます。
その免疫は生まれて2〜3ヶ月の間、仔猫を守ってくれます。
しかし、2〜3ヶ月かけて徐々に効果は消えてしまいます。
ですから、生後2〜3ヶ月後にワクチンを接種するのが最良です。
しかし、お母さんから頂いた免疫は徐々に効果を消失するもので、さらにこの免疫が残っている間は、ワクチンの効果が充分でないので、仔猫の場合、一回ではなく数回ワクチンを接種する必要があります。
ほとんどの場合、2回ほどワクチンを接種するようです。
生後2〜3ヶ月で最初のワクチンを接種し、その後時間を置きながら、2〜3回ワクチンを接種するのが一般的ということです。
ワクチンの効果はだいたい一年ほどです。
定期的に受けることが望ましいようです。
ツナさんの場合、最初のワクチンを受けてから、1ヶ月後に二度目を接種しました。
その後は一年事に受けるようにと、動物病院で指導されました。
3年置きで良いという研究結果もあるようですが、1年置きというのが、現在の日本では一般的なようです。
ワクチンを受けたからといって、絶対に感染症に罹らないわけではなく、しかし、もし万が一罹ったとしても、重症化を抑える事ができるという事も知っておくべき事でしょう。
これは人間の場合も同じです。
猫ワクチンの副反応
このお話より少し先のお話になるのですが、ツナさんが避妊手術に行った時、丁度同じように子宮の摘出手術を受ける猫が居ました。
10歳近くになる年配の猫でした。
避妊手術ではなく、子宮の病気による摘出手術ということでしたが、お話を伺うと、ワクチン接種のおり、アナフィラキシーショックを起こし、それ以来、飼い主さんが動物病院に恐怖心を覚えて病状が進んだ状態で連れて来てしまったとのことでした。
ワクチン接種による副反応は稀ではありますがゼロではありません。
このように、案外身近に副反応を起こした猫が居ると、不安になるのも当然です。
けれども、副反応が起こる頻度と感染症で苦しむ猫の数は圧倒的に後者の方が多く、感染症を予防するほうが余程重要な事だと、私は考えます。
感染症は、他の猫にも影響を及ぼします。
その脅威は拡大していくものなのです。
これは、現在のこのご時世だと、感覚的にとても分かりやすいと思います。
自分のところの猫だけの健康ももちろん重要なのですが、世の猫のために、感染の拡大を防ぐというのも重要な事です。
副反応も当然怖いですが、飼い主さんの注意で最悪の事態を免れた例もたくさんあります。
それよりも、ワクチンを受ける事で感染の拡大を防ぐほうが余程重要な事だと私は考えています。
狂犬病は日本のワクチン接種推進の努力により、実際撲滅しました。
猫のワクチンは値段も3種混合で3000円〜5000円くらいと、犬のものほど高くはありません。
ツナさんの通う動物病院では再診料も含めて3000円ちょっとほどでした。
地域や動物病院によっても値段は変わるようです。
不安であれば、動物病院に電話して尋ねてみるのが良いかもしれません。
保護猫ツナさん、生まれて初めて注射をされる
ツナさんは動物病院の見立てだと7月前半生まれでしたので、最初のワクチンは9月ということでした。
その頃には最初に手作りしたキャリーには入らなくなっていたので、さらにそれを改造して、知人にカゴ付きの自転車を借りて動物病院に連れて行きました。
「食い力」が無いと言われてから、食べるのがヘタクソで食べ物よりも遊びの方に気が行きがちなツナさんに、なんとかかんとか必要な量のごはんを食べさせ、体重は順調に増えていましたし、大きな体調不良もなく、元気に母ちゃんを困らせています。
ワクチンのための診察の時、ツナさんの顔を見た院長先生は、「悪い顔になってきた」と言ってニコニコ笑っていました。
院長先生の順調という太鼓判のもと、その場でワクチンを接種する事になったのですが、ツナさんは、動物病院ではものすごく大人しいのです。
「借りて来た猫」
昔の人は本当によく物事を観察しているなあと思うほど、この言葉がピッタリです。
ワクチンの危険性も大型犬を飼う上でたくさん知っていたので、とても緊張しましたが、1度目のワクチンも2度目のワクチンも、とても順調に進みました。
2度目のワクチンを受けに行く際、ついに手作りのキャリーに入らなくなってしまい、リュック型のキャリーを購入する事になりましたが、これもツナさんの成長を感じる微笑ましい出来事でした。
うちの子になったツナさん
犬たちは狂犬病の注射とワクチンを、同じような時期に接種していました。
犬母ちゃんにとって、2度目のワクチンを終えた時が、「うちの子」になったと実感する瞬間でした。
なんやかやと、バタバタとツナさんの命をつなぐ事、日々のお世話をする事に夢中だった私も、さすがに2度目のワクチンを終えてキャリーを背負い、家に帰る道中、背中の重みに対して、「うちの子になったんだね、これからもずっと一緒にいようね」という気持ちがあらためて湧いて来ました。
これからもっと、猫についての勉強を重ね、ツナさんと1秒でも長く幸せにいっしょに居ることを誓ったのでした。