まぐろ印のツナ〜犬派んちの猫〜

犬派の母ちゃんと暮らす猫のツナ

保護猫のツナさん、避妊手術に行く

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避妊手術に関する問題は色々ですが、私自身はこれから共に暮らす犬あるいは猫については、避妊手術はしようと考えています。

犬や猫の避妊手術については、今までも各地各国で色々な議論がなされて来ました。

犬も猫も動物であり、地球の生命の根源は種の生き残りと繁殖であると思えば、その繁殖を他動物である人間が阻害するような事をして、それは果たして正しい事なのか。

しかし、それはあくまで種という大きなカテゴリーで考える倫理観であり、個々の命ひとつひとつに焦点を当てれば、人間社会でやむを得ず奪われる不幸な命を増やす事よりも、その数をコントロールし、人間社会で幸せに暮らす命を大切に育む事こそが重要なのではないかという倫理観もまた間違いではありません。

犬も猫も、人間無くしては存在しない種であり、人間がいなくなれば、イヌとイエネコは存在できない種です。

野生動物と同じに考えて極論に走る事は、他の家畜動物にも言える事ですが、「動物福祉」や「動物の権利」などの、人間社会からみる動物の幸せに関する議論の発展を止め、いつまでも何も変わらない状況を続け、不幸な動物たちはいつまでも酷い状況のままでただ時間だけが経つ事になります。

実は私は、この議論の上に立って「避妊手術をする」という結論に達したわけではありません。

私は、亡き愛犬まぐろさんを、避妊手術を受けない事を選択した事により、大変ツライめに合わせる事になってしまいました。

その経験から避妊手術を推奨する事になりました。

すごく個人的な体験が根底にあるのです。

避妊手術のこと

子宮蓄膿症は、とても一般的な主に雌犬の疾患です。

その罹患の割合は思っているよりも多いものです。

私はまぐろさんと暮らすまでは、ほとんど純血の猟犬たちと暮らしてきましたので、実猟犬で家族であると同時に繁殖犬になる可能性も多大にある犬ばかりでした。

子宮蓄膿症は、子供を産み、順当に年老いた犬が罹るよりも、出産しないで年老いた犬のほうが罹る確率がとても高い病気で、実際、私の周りの避妊手術を受けず、繁殖も行わなかったメス犬の多くが子宮蓄膿症の診断を受けています。

繁殖する予定の全くないメス犬は、避妊手術をすれば、この病気を防ぐ事ができます。

そして手術はどう考えても若い頃にしたほうが命の危険性が低くて済むのです。

まぐろさんが子宮摘出の手術を受けた時は、もうかなりの老犬でした。

病状は、放っておけば、すぐに亡くなってもおかしくないという状況でしたが、年齢的に、手術もとても危険なものでした。

その時の動物病院の先生になんとか助けて頂きましたが、とても危険だった事に変わりはありません。

当然、私はとても後悔しました。

若い頃にきちんと避妊手術を受けていれば、まぐろさんをこんなに苦しませることはなかったからです。

以前に飼っていた犬は繁殖する可能性があった犬たちでした。

なので、私は身体にメスを入れてわざわざ元気な子宮を摘出するという事に抵抗がありました。

きちんと管理できれば、望まぬ出産もないのではないかという甘い考えがあった事も否めません。

そんな甘い考えが結果的にまぐろさんを苦しめる事になってしまいました。

まぐろさんは手術の後もとても長生きしてくれました。

出産させる予定がないのならば、若い頃に子宮摘出の手術を受けていれば、子宮蓄膿症に罹る危険性はありません。

苦しむ事も少なくてすみます。

ですから、私はツナさんに関してはメス猫であるということがはっきりした時点で、避妊手術を受けさせようと決めていました。

避妊手術を受ける前に知っておきたいこと

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犬も猫も、避妊手術の方法は、子宮や卵巣の全摘出です。

メスの場合、当然、開腹手術になります。

全身麻酔での開腹手術ですから当然、ある程度の体力が必要になります。

避妊手術を受ける時期は、最初の発情期が来る前が望ましく、仔猫にある程度体力のつく生後半年が望ましいと言われています。

この時期だとホルモンバランスの崩れも少なくてすみ、比較的穏やかに術後の回復が見込めるようです。

発情が来てしまうと、当然、子供を産むために身体が準備をはじめます。

その準備をするための情報は子宮などの生殖器から送られますので、最初の発情が来る前の方が負担が少なくて済むというのはとても理にかなっています。

生後半年というのはあくまでも目安で、個体差があり、遅かったり早かったりするようなので、ばっちりハマるということは少ないかもしれません。

全身麻酔での全摘出なので、当然、麻酔のリスクは伴います。

普段からしっかりと動物病院の先生との関係作りをしておくと飼い主さん側の心の準備がしやすいはずです。

避妊手術をするとホルモンバランスが崩れてしまうので、太りやすくなります。

ごはんなどを見直す機会かもしれませんね。

避妊手術の値段

猫の避妊手術はどうやら地域や動物病院によってまちまちなようですが、概ね、30000円から50000円の間くらいが相場のようです。

地域によっては飼い猫に対しても助成金が出たりするところがあるようです。

うちの地域では助成金はありません。

野良猫に関しては条件を満たせば助成金はあるようです。

麻酔の代金や手術内容、薬の加減などで値段は変動するので、目安として参考になればと思います。

ネット上では、手術代だけで30000円くらいという話が多かったのですが、うちの地域では、麻酔代や術前検査や抗生物質の投与なども合わせて30000円くらいになる病院が多いようです。

保護猫ツナさん、避妊手術をする

年が明け、1月になってからツナさんを連れて動物病院に避妊手術の相談に行きました。

ツナさんは8月にほぼ乳飲児状態で保護し、すぐに離乳したので、7月生まれとして、12月で生後半年という計算なのですが、12月は動物病院が大忙しという事で、1月に行きました。

1度目の相談で起こった事

実は1度目の相談で、ツナさんの右眼が曇っている事が判明しました。

オチを先にいうと、イタズラ三昧のツナさんが何処かにぶつけてしまったという事なのですが、この動物病院の院長先生は気になる事を発見するとどうしてもそっちが気になってしまうタイプのようです。

FIP(猫伝染性腹膜炎)という難病があって、どうやらこの動物病院でその患者の発見が続いたらしく、瞳の曇りがとても気になったらしいです。

幸いな事に、抗生物質の含まれた目薬を2種類頂いて1週間様子見して、キレイに治ってしまったツナさん。

その間、私が目薬をさすおりに、まつ毛が少し切れている事も発見して、なあんだどっかにぶつけてしまったんだねと笑い話で済みました。

本当に良かった。

この動物病院の先生は、めんどくさいと感じる人は多いかもしれませんが、私はとても合うようです。

安心して手術をお願いする事にしました。

避妊手術の予約と手術前日の事

手術は2月の頭に決まり、日程を予約しました。

その時に手術の前日までにしておく事を、スタッフさんに丁寧に教えていただきました。

まぐろさんの手術は緊急でしたので、何の準備もありませんでした。

その説明を聞いて、あらためて、まぐろさんの手術がどのくらい逼迫した状態で行われ、危ない状態であったかがわかりました。

麻酔をすると、胃の中にある食べ物や飲み物が逆流し、それが喉に詰まってしまって窒息する場合があるそうで、それを防ぐために、手術の前日は早めにごはんを済ませ、水も夜中は飲ませてはいけないそうです。

いわゆる、絶飲食ですね。

ツナさんへの指示は、夜の20:00以降の絶食、夜23:00以降の絶飲食でした。

それから麻酔をするので検査などもできるという事で、血液検査や尿検査、ウィルス検査、レントゲンなどの予算を細かく書いたものをいただき、当日までにどうするか決めてきてくださいと言われました。

これはとても助かりました。

うちは大金持ちではありませんから、ツナさんのための貯金から、予算内でできることを前もって計算できたからです。

手術当日に洗濯ネットに入れて連れてくるようにも指示されましたので、ツナさんのために新しい洗濯ネットを購入し、それに入れて行く事にしました。

お迎えの事や手術の時間の事なども説明していただいたような気がするのですが、私はなんだかそれがほとんど頭に入りませんでした。

さて、手術前日ですが、ツナさんは食べることにあまり執着しないため、ダラダラ食いで、20:00以降に食事を引いてしまってから、何度かいつもフードの食器が置いてある場所に行き、「母ちゃん、ごはんは?」という顔をするのが心が痛くて痛くて仕方ありませんでした。

もちろん水に関してもです。

それでも、ツナさんは、「なんだー今日はないのかー」くらいの感じで過ごしたのですが、私自身はもう……

どちらかと言うと、私の方の闘いだったように思います。

食事の時間を決めて、残り物は片付けるという習慣にしたほうが、こういう時に楽なのかもしれません。

避妊手術当日の事

当日、指定された日時に行くと、まだ診察が残っていて、少し待ちました。

日曜日にお願いしたのですが、ここの病院は日曜日の午前中は診察があり、午後から、手術が行われるそうで、他にも手術を受ける子がいて、その中に、ワクチンの時に書いた子宮の病気の老猫も居ました。

待合室でツナさんに話かけながら順番待ちをしていると、奥から気を遣って頂いたのか院長先生の声で、ツナさんを預かるようにとスタッフさんに指示する声が聞こえました。

予定時刻より少し遅れてツナさんを預け、スタッフさんから検査の件と、本日終わったら必ず電話するので、その時にお迎えの時間をお知らせすると言われ、今日中に帰れるんだという事に驚きました。

どこの病院もそうなのかはわかりませんが、ツナさんの場合、12:00過ぎに預けて、18:00にはお迎えに行ける段取りでした。

それでも、まあツナさんが居ない間は気が気ではなかったのも事実です。

おかげで手術終了のお知らせ電話にはワンコール行かないうちに出てしまいました。

ツナさんの手術の後は本当に小さくてびっくりしました。

そして、エリカラはストレスになるから、という事で、エリカラの貸し出しもしませんという事でした。

驚きです。

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保護猫ツナさん、検査で分かった事

幸いな事に、ツナさんはまだ発情が来ていなかったらしいです。

おかげで手術事態はとても順調に終わったとの事。

病院が診察終了時間であるにもかかわらず、院長先生は、パソコンを立ち上げ、丁寧に検査結果を説明してくださいました。

まず最初にわかった事はツナさんにノミが寄生していて、さらに瓜実条虫も再寄生しているという事でした。

ノミの駆虫薬を処方していただけるという事で、ドロンタールとアドバンテージプラスをいただきました。

まぐろさんは、超絶原始的な方法でノミ退治したのですが、猫の場合はノミに寄生されると思ったより容易に瓜実条虫にも寄生されるようですから、まぐろさんのように弱った老犬でない限り、駆虫薬を使うほうが賢明であると判断したからです。

術後1日以上置いてから投薬するようにとご指導頂きまして、無事に投薬しました。

レントゲンで分かった事

レントゲンもお願いしていました。

院長先生が一番最初に説明してくれたのがレントゲン写真についてでした。

撮影したのは2枚。

横向きの写真と、いわゆる万歳の格好です。

院長先生はレントゲンの仕組みまで丁寧に説明してくれました。

それでわかったのは、ツナさんに誤飲があり、小さな石がお腹にある事。

けれどこれは、うんちで出るだろうという事でした。

問題は、心臓のカタチと内臓脂肪。

他の健康な猫のレントゲン写真と比較して丁寧に説明していただいたのですが、他の猫と比べてツナさんは少し心臓のカタチが違うとの事。

今すぐどうこうというわけではなく、このカタチがもう少しおかしくなってきたら、心疾患の疑いがあるということで、まだ成長段階なので、様子見しましょうということでした。

本当の問題は内臓脂肪です。

これがもうね。

もともと「食い力」のないツナさんに手を変え品を変えなんとか食べてもらおうと頑張った結果がこれですよ。

他の猫と比べても内臓脂肪の多い事多い事。

隠れ肥満です。

メタボリックです。

院長先生曰く、こういう痩せてみえるけど内臓脂肪の多い仔猫は将来太りやすいので気をつけるようにとの事でした。

もしも先天的な心臓の病気ももっていたら、肥満は大敵です。

レントゲンを撮ってもらって本当に良かったと思います。

血液検査でわかった事

血液検査で分かった事は、ヘモグロビンの数値が少し高い事。

ストレスや心疾患などが原因らしいです。

異常値というよりは正常値より少し高いといった感じで、もしも心臓のカタチによるものならば、心疾患になるので別の検査が必要とのこと。

ただし、まだ仔猫であるし、3ヶ月ほどしてもう一度みてみましょうということでした。

今のところ心雑音もないし、元気に成長する可能性が高いということで少し安心しました。

尿検査で分かった事

尿検査で分かった事は、尿に潜血があった事、白血球の数値が高い事です。

猫は本当にストレスに弱い生き物で、ちょっとしたストレスで身体を壊します。

ツナさんの尿の潜血と白血球の数値の上昇に関しては、どうやらストレスから来るもののようでした。

これは、母ちゃんから引き離され、病院で色々な事をされたストレスによるものの可能性が高いので、あまり問題にしなくて良いとの事。

それ以外の血液検査の結果は全く問題がないという事で、私はさらに胸を撫で下ろしました。

ウィルス検査で分かった事

ウィルス検査の結果は、後日、抜糸の時に聞きに行きました。

感染力が高く、一般的な3種類のウィルスの検査をしていただいたのですが、どれも陰性でした。

本当に本当に安心しました。

その抜糸の時に、ツナさんは今までになく緊張し、落ち着きがなく、診察室に入って若先生と院長先生の顔を見るなり、シャアッと言ってめちゃくちゃ怒りました。

実は、私、この時、ほぼ初めてツナさんの本気のシャアッを聞いたのです。

処置が終わると一目散に母ちゃんの肩に登り、身体を擦り付けました。

その姿を見た院長先生が、「猫は嫌な事をされたのを覚えている。犬より根にもつのが猫です」とおっしゃられていました。

そして、「何かあったらいつでも相談に来てください。それがなければ、次のワクチンの時かな」と言った後、少し寂しそうに、「その頃には忘れてくれてるといいけど」と、ぐるぐる怒っているツナさんをみて笑っていらっしゃったのがとても印象的でした。

ここの院長先生は、本当に動物が好きなんだなとあらためて思い、この動物病院を選んで良かったと再度思いました。

この子が天に召されるまで、ずっと猫と生きて行く

はからずも、小さな乳飲児の仔猫を保護する事になった犬母ちゃんですが、自分の意思で命を繋ぎ、そして、彼女が望んでいるかどうかは別にして、彼女を「人間と共に生きる道」の上に乗っけてしまいました。

避妊手術を受けたという事は、彼女は人間と共に生きる猫になったということです。

その選択をしたのは、他でもない私です。

私には彼女と共に生きる責任が生まれました。

彼女がいつか天に召されるまで。

彼女を幸せにする義務が生まれたのです。

私は犬母ちゃんなので、またいつか犬と暮らす事があるかもしれません。

犬母ちゃんに戻る日があるかもしれません。

けれども、この子……ツナさんが天に召されるその日まで、私は「猫」と生きていくのです。